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2018年2月26日月曜日

キャベツの病気について②糸状菌(カビ)による病害

こんにちは、グラントマトです。
前回、キャベツの病気について説明しましたが、今回はキャベツの病気で糸状菌(カビ)による病害に関して説明します。
【黒斑病】、【黒すす病】

症状
黒斑病:外葉に淡緑褐色ないし褐色で、中心部に同心円状の黒褐色輪紋のあるやや大型(径2~10mm)の円形病斑を形成する。黒すす病:初め黒色輪紋が現れるが、後に全面が黒色になる。

発生の仕組み
病原:糸状菌(かび) アブラナ科作物を侵す2種のアルタナリア菌によって起こされる。黒斑病はアルタナリア ブラシカエにより、また黒すす病はアルタナリア ブラシシコラにより起こされる。
 病原菌は前作の被害葉上で生存し、条件がよくなると胞子を形成して、雨滴や風によって下葉に運ばれ、病斑を形成する。病斑上には再び胞子が形成されて次々に伝搬する。また種子上でも生存し種子伝染する。黒斑病は低温期(11月~4月)に発生し、黒すす病は高温・多湿期に発生が多い。

防ぎ方
種子伝染する。種子は消毒済み種子を利用する。セル苗では子葉への感染を認めたら、除去するか早めに薬剤散布し蔓延を防止する。育苗時は、潅水すると胞子が飛散して被害を大きくするので底面給水とする。
 黒すす病では、発病を認めたらポリオキシンAL水溶剤を潅注する。

【菌核病】

症状
結球期に外葉の基部や地面に接する部分で、淡褐色水浸状の病斑を形成する。病斑は次第に拡大してへこみ、あめ色に変わって軟化、腐敗し、葉はしおれる。腐敗は急速に結球葉の基部に進み、やがて結球部全体に進展して結球の一部ないし全体が軟腐する。しかし悪臭はしない。腐敗した葉を1~2枚はがすと、白色綿毛状の菌糸が密生し、その中にやがて黒色、ネズミのふん状、やや大型(径数mm)の菌核を形成する。

発生の仕組み
病原:糸状菌(かび) スクレロティニア スクレロティオラム
 本病原菌は非常に多くの種類の野菜を侵すが、キャベツは特に侵されやすい。いずれの宿主の上でも菌核を形成して、菌核は被害作物遺体とともに土壌に混入して、条件にもよるが複数年生存する。菌核からは春秋2回(適温15~16℃)、子のう盤と呼ばれる黄褐色の浅い杯状のキノコ(径3~4mm)を地表に生じ、その頂部に子のう胞子を形成する。子のう胞子は雨滴や風によって飛散し、植物体に到達する。子のう胞子は茎葉上で発芽し、感染して病斑を形成する。
 気温20℃前後、多湿条件で多発する。

防ぎ方
多発圃場での栽培は避ける。水田との輪作で菌核を死滅させ、被害軽減効果がある。薬剤防除では、被害発生前の予防散布が効果的。多発圃場における発病後散布では、十分な防除ができないことがある。発病初期に徹底防除する。 
 防除薬剤として、オルフィンフロアブル、カンタスドライフロアブル、セイビアーフロアブル20、ベルクート水和剤、ファンタジスタ顆粒水和剤、アフェットフロアブルなどを結球開始期より散布する。生物農薬として、菌核寄生菌を利用したミニタンWGが利用できる。

【白さび病】
症状
初め葉の裏面に白色でいびつな小斑点を生じる。後に表皮が破れて白色の粉状物(病原菌の胞子のう)が露出し飛散する。病斑部の葉の表面は退緑し、周辺が不明瞭な黄色の輪紋となる。春に抽苔した時に、茎や花柄、花弁などが異常に肥大して奇形化する。

発生の仕組み
病原:糸状菌(かび) アルブゴ マクロスポラ
 本病原菌は純寄生菌であり、キャベツのほか、ハクサイ・コマツナ・カブ・タイサイ・キョウナなどを侵す。ほかにダイコンのみを侵す系統、タカナ・カラシナ・洋種ナタネなどを侵す系統がある。
 本病は晩秋から早春にかけて多く発生する。病原菌は宿主組織内で菌糸および卵胞子として生存し、やがて形成される胞子のうが飛散して空気伝染により蔓延する。

防ぎ方
キャベツのほか、宿主になる作物は収穫が終わり次第、できるだけ早く残さを処理する。
 薬剤防除:キャベツの白さび病に対する登録防除薬剤はない。

【べと病】
症状
外葉の下葉から発生する。葉脈間に、淡黄褐色、不整形の病斑を生じる。病斑は小型のややへこんだ壊死斑が融合したもので、大きさは不揃いで、形も一見葉脈に限られた多角形であるが、ハクサイやキュウリのべと病斑ほど明瞭ではない。葉裏の病斑面には汚白色、霜状のかび(病原菌の菌糸)が生えている。多数の病斑ができると、葉は全体に白っぽくなり乾燥して巻く。発芽直後の幼苗に発生すると、子葉の裏側に汚白色のかびが生えて枯死することがある。

発生の仕組み
病原:糸状菌(かび) ペロノスポラ パラシティカ
 純寄生菌であり、周年アブラナ科植物に寄生している。ただし、アブラナ科野菜のべと病には、寄生性の違う数系統があり、ハクサイ菌はコマツナ・カブ・サントウサイ・タイサイを侵すがダイコンやキャベツ・ブロッコリー・カリフラワーにはあまり発生しない。
 キャベツやほかの宿主上で、菌糸や卵胞子の形で越冬した本病原菌は、発生適温になると胞子のうを形成し、以後は分生胞子による空気伝染で伝搬する。
 発生適温は20℃と比較的冷涼で、多湿な条件下で多発する。

防ぎ方
寡日照・低温多湿時に発生する。常発地では、発生時期をめどに薬剤を予防散布する。
 防除薬剤として、ライメイフロアブル、レーバスフロアブル、リドミルゴールドMZなどを散布する。

【萎黄病】

症状
高温期に発生する。温度条件さえよければ、幼病期から収穫期まで発生する。下位葉から葉色は黄変し、速やかに葉柄の付着部に離層ができて落葉する。黄化はしばしば葉の片側、株の片側に現れ、その部分の発育が悪くなる結果、ゆがんで奇形になる。発病株の根・茎・葉の維菅束は褐変し、かたくなる。病勢の進展は早く、生育途中に発病した株は枯死して欠株となる。生き残った株も球の品質は極度に劣化し、販売に耐えない。

発生のしくみ
病原:糸状菌(かび) フザリウム オキシスポルム f. sp. コングルティナンス
 本病にかかったキャベツの体内、特に維菅束には、病原菌が蔓延して厚膜胞子(不良環境に耐えて長期間生きられる器官)が多数形成される。厚膜胞子は被害作物の遺体とともに土壌中に混入し、数年から最大十数年間生き残る。この土壌にキャベツが植えられると、厚膜胞子から発芽管が伸びて、キャベツの根の先端や傷口から体内に進入し、導管内で増殖する。寄生を受けたキャベツは、病原菌による栄養の収奪と導管の閉塞、さらに病原菌の産生する毒素によって生育が著しく阻害され、枯死に至る。
 本病は典型的な土壌伝染性病害であり、一度土壌が本病病原菌の汚染を受けると、病原菌は容易に駆逐できず、高温期にキャベツを植えれば必ず発病する。したがって、病原菌を畑に入れないことが本病防除の第一歩である。本病病原菌の伝染の可能性は次の経路が考えられるので、これらを一つひとつ点検して、細心の注意を払って消去していくことが肝要である:種子、苗(感染苗と汚染床土)、育苗床土、育苗資材、運搬用・耕運用大小農機具、農具、履き物、堆厩肥、潅漑水など。また強風や大水による汚染土壌の移動により広範な伝搬が起こる。
 本病の発病適温は26~30℃と高温である。25℃以下では、温度が低くなるにしたがい発病までの所要日数が長くなるが、18℃以上では発病の可能性はある。

防ぎ方
多発圃場では連作を避ける。抵抗性品種(YR系統)の栽培が被害軽減に有効である。常発地では抵抗性品種を導入する。品種導入ができない場合には土壌消毒が有効である。
 土壌消毒には、クロルピクリンくん蒸剤(クロールピクリン、クロルピクリン錠剤)、バスアミド微粒剤が利用できる。

【バーティシリウム萎凋病

症状
生育が徐々に遅れる。外葉の葉縁が黄化し、ところどころ葉脈に沿って葉肉部が大きくV字形に黄化する。葉脈は黒褐色の網目状を呈し、萎凋してやがて落葉するが、落葉後は黒変して微細な病原菌の菌核が形成される。

発生の仕組み
病原:糸状菌(かび) バーティシリウム ダーリエ
 典型的土壌伝染病。本病原菌は多犯性で極めて多くの作物、雑草に寄生して導管病を起こす。発病した植物の遺体(残さ)上に形成された菌核の形で、土壌中で長期間(数年から十数年)生存する。キャベツの根が菌核の近くに伸びてくると、菌核は発芽して根に進入し、導管の中で増殖する。
 病原菌は比較的冷涼な気候を好み、発病適温は20~24℃である。土壌湿度はやや低い方を好み、湛水状態には弱い。
 本病原菌の伝染経路は、前作の収穫残さのすき込みや病原菌に汚染した(病原菌の菌核の混入した)堆肥の施用による本圃・苗床での土壌伝染、耕運用・運搬用大小農機具、履き物、資材、潅漑水、強風・豪雨などによる汚染土壌の移動、病原菌に汚染した種子・種苗を介しての伝染などが挙げられる。

防ぎ方
線虫(ネグサレセンチュウ)が本病の被害を助長する。線虫被害の多い圃場では、線虫の駆除をする。
 キャベツ品種には、感受性の異なるものがあり、彩ひかりなどかかりにくい品種を栽培すると被害軽減ができる。
 多発圃場では連作を避ける。また、水田との輪作は被害軽減効果がある。
 土壌消毒には、NCS、キルパー、バスアミド微粒剤、ディ・トラペックス油剤などが利用できる。

【根こぶ病】

症状
主根や支根にこぶを形成する。こぶは形成後日が浅い時には、表面は白色平滑でかたいが、日がたつにつれて表面は褐変して粗面になり、収穫期にはかなり腐敗する。幼苗期に感染すると主根に大型の根こぶを形成し、生育途中に感染すると、主として支根に小型のこぶが多数形成される。そのために水分や栄養の吸収が妨げられて、発育は遅れ葉色はあせ、茎葉が晴天の日中しおれるようになる。早くから激しく発病すると、生育中途で枯死に至り欠株を生じる。被害の程度に応じて、結球は小さくなり、食味も落ちる。

発生の仕組み
病原:糸状菌(かび) プラスモディオフォラ ブラシカエ
 典型的土壌伝染病である。本菌は生きた宿主植物の根で寄生生活を送る以外には増殖することのできない、いわゆる絶対寄生菌であり、根こぶの内部で無数に形成される休眠胞子により、土壌中で数年間、活動することなく生存することができる。
 宿主植物はアブラナ科(ハクサイ・キャベツ・カブ・菜類)に限られる。ダイコンは、品種にもよるがあまり発生しない。ほかのアブラナ科作物にはいずれも激しく発生し、すべて共通の宿主と考えなければならない。
 休眠胞子からは、適当な温度と水があると、宿主根の周囲で、鞭毛によって土壌の自由水中を自由に泳げる遊走子が形成されて、宿主根に到達し感染する。感染後は、宿主根の表皮細胞中で増殖、充満して、休眠胞子を形成する。その過程で、宿主根は異常発育して巨大なこぶを作る。
 根こぶ病の発生は、次のように、実にさまざまな環境要因の影響を受ける。
*土壌水分:根こぶ病菌は、遊走子によって地表あるいは土壌孔隙内の自由水中を遊泳、移動して宿主根に感染するため、土壌水分の多少と発生との間には密接な関係がある。畑地よりは水田(転換畑)で、また、乾燥する圃場よりは排水の悪い圃場でより多く発生するのはそのためである。一枚の圃場の中でも湿度の高い部分でより多く発生する。
*温度:9~30℃で発生するが、最適温度は20~24℃である。
*日長:長日条件下で発生するが、1カ月間の平均日長が11.5時間以下になると発生は激減する。根こぶ病は春から初秋の病気であるといえる。
*土壌反応:pH4.5~6.5の酸性土で発生し、pH6.5以上の中性からアルカリ性の土壌では発生が激減する。
*土質:湿性黒ボク土では多発する。
*土性:埴土・埴壌土で多発し、砂土では発生が少ない。排水の良否と関係があると思われる。
 休眠胞子の混入した土壌(汚染土壌)の移動と汚染した床土で育苗した苗は最大の伝染経路である。各種農作業に用いる大小農機具や作業者の履き物に付着した汚染土壌の移動により、圃場間・圃場内の汚染拡大が起きる。また雨水や風による汚染土壌の移動、収穫残さや収穫物の洗浄廃水、水田地帯では、潅漑水でも汚染は拡大する。

防ぎ方
多発圃場では連作を避ける。抵抗性品種が知られている。被害圃場では、抵抗性品種(CR系統)を導入する。圃場のpHを7.2以上にすると被害が軽減する。土壌酸度矯正効果の高い土壌改良資材の施用で、被害の軽減が可能である。
 多発圃場では、オラクル顆粒水和剤、フロンサイドSC、ネビジン顆粒水和剤を土壌全面に施し、混和後キャベツを定植する。セル成型苗では、ランマンフロアブルを育苗時処理して定植する。土壌消毒では、バスアミド微粒剤、キルパーなどが利用できる。生物防除資材としてフィールドキーパー水和剤がある。

【苗立枯病】
症状
播種した種子が、発芽後土壌中で腐敗(出芽前立枯れ)したり、いったん出芽した後、地下部が腐敗したり、地際部の胚軸が褐変し、くびれて枯れる(出芽後立枯れ)。被害を受けた部分には、褐色のクモの巣状の菌糸や白色綿毛状の菌糸が見えることがある。

発生の仕組み
病原:糸状菌(かび)
  (1)リゾクトニア ソラニ
  (2)ピシウム ウルティマム
 いずれの病原菌も高温性であり、高温期の育苗は常に本病の危険にさらされる。比較的乾燥状態では主に、(1)による苗立枯れが、また多湿状態では、(2)による苗立枯れが発生しやすい。(1)による苗立枯れは被害の拡大が比較的緩慢なため、発生初期に薬剤防除が可能である。(2)による苗立枯れは被害の拡大が非常に早く、特に露地育苗の場合、しばしば降雨中に発生し伝搬するので、薬剤防除は不可能である。

防ぎ方
セル成型苗では、潅水過多・底面排水不良が原因となって発生する。底面給液では、液中に病原菌が入ると全滅することがあるので注意が必要。育苗用土は新しい土を使用する。育苗にあたっては、資材・育苗施設などは入念に消毒し(温湯50~55℃で1時間程度、太陽熱消毒が可能)、圃場衛生に注意する。
 発病圃場では、バスアミド微粒剤(リゾクトニア菌)、クロピクテープ(リゾクトニア菌)、ソイリーン(リゾクトニア菌)などで土壌消毒する。ウイスペクト水和剤5(リゾクトニア菌)による種子消毒に効果がある。

【根朽病】
症状
生育全期間にわたって発生するが、幼苗期から生育前期に発生すると被害が大きい。苗では茎葉に黒色小斑点を生じ、水浸状になり速やかに軟化、枯死する。本圃に定植後では、地際部の茎に黒褐色小斑点を生じ、次第に拡大して灰緑色を呈し、細くくびれる。地下部の茎と根も侵されるので、日中葉が萎凋し、茎の細くなった部分から折れて倒伏・枯死する。葉・茎・葉柄では、初め紫褐色の小斑点を生じ、やがて拡大して円形、灰緑色の大型病斑を形成する。病斑は乾燥して潰瘍状を呈し、黒色小斑点を多数生じる。

発生の仕組み
病原:糸状菌(かび) フォーマ リンガム
 病原菌は被害茎葉とともに土壌中に入って越冬する。また、種子伝染、空気伝染もする。発生適温は高く25~30℃であり、夏秋作で発生が多い。

防ぎ方
被害茎葉は集めて焼却する。発生地にはアブラナ科作物を栽培しない。病原菌に汚染されていない健全種子を播種する。
 薬剤防除:アフェットフロアブル、ベンレート水和剤、ダコニール1000に登録がある。



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